たの葉の物思い 

たの葉が思ったことです、主に本を読んだ感想、ときどき、それ以外

岩波新書シリーズ日本中世史②鎌倉幕府と朝廷

著・近藤成一

 鎌倉時代鎌倉幕府。何気なく使ってきた言葉だが。「はじめに」を読み、京から遠く離れた「鎌倉」という地の持つ意義の深さを、初めて考えた。「彼はひっそりと隠れるように彼の幕府を創設したという印象すらある」という言葉に、驚いた。

 わたしが好きな時代。武士たちの栄枯盛衰。勝者、強者、権力者が入れ替わっていく。ああ、平家の滅亡を読むのが辛い…。この世は諸行無常だ、心を落ち着かせよう…。それにしても、史実なのに、まるで物語のよう。脚色しなくても事実だけでも、この時代の武士たちの戦い、まるで物語のように面白い。

 もっとも、覇権を巡る人間たちのドラマは、どの時代、どの国でも、面白いのだけどね。わたしは日本の中世が一番好き。

 荘園群の継承、女院領の伝領が、興味深かった。この時代の天皇家はちゃんと自分たちの財源を持っているし、きちんと確保しているではないか。そう、先祖の菩提を弔うためには財源が必要なのだ。これらの荘園群、院領は、中世以降、どうなってしまったのでしょう…。

 将軍と執権の、御家人に対する立場の違いから、裁許状に下知状が用いられたということが興味深かった。裁判のしくみ、とくに興味はないなと思っていたけれど、面白かった。訴訟とは、この時代を読み解く一つのカギなのか。

  鎌倉幕府の崩壊って本当に、劇的だ…。事実だけでも脚色しなくても、面白い悲劇…。北条氏の得宗家の鎌倉方の、壮絶な最期、犠牲者の数。胸を打たれる…。

 「おわりに」で、とんでもなく低い地位に甘んじていたという得宗について考えた。意図的ではなく成り行きだったのかもしれない、京から遠く離れた地で開かれた幕府。そこで150年存続し続けた幕府について、改めて、感慨を覚えた。