たの葉の物思い 

たの葉が思ったことです、主に本を読んだ感想、ときどき、それ以外

岩波新書シリーズ日本古代史③「飛鳥の都」

著・吉川真司

 蘇我入鹿蘇我家。学校の授業で習ったが、漫画、原ちえこのたしか「千夜恋歌」の一編で人物として意識し、 そして山岸凉子「日処出の天子」を読んでから、悪役だと思えない。無残な死に方が悲しい。

  隋って唐って、なんて強大な脅威。対峙する朝鮮三国の、体制の激動と外交の複雑。中国王朝と地続きだと大変だと、とてもよくわかる。乙巳の変、アジア情勢という広い視点から見たら、改めて、面白い。

 複雑な家系図、入り組んだ血縁関係が現れてくると、ああ、天皇家だ、ああ、宮廷だと思うの。天智天皇。歴代天皇の中で、好きな天皇のお一人。目的のための自分自身の手を汚すトップが好きだから。天武もそうだけど、天武より好き。天武朝における、う野皇后の存在感が、考えていた以上だった。本当に補佐だったのか。

 なるほど、天智朝と天武朝の前半は「臨戦体制」だったのか。それから「平時体制」へ、それが律令制の確立なのか。

 唐に倭国を征討する意図があったのか。でも、そうさせなかったアジア、ユーラシア東部の情勢の変遷。この時代の日本の歴史を見ていると、日本も、倭国も、世界の一部であり世界と繋がっていると、とても感じる。倭と新羅の制度的発展、そうか「並行現象」なのか。

 七世紀史。慌ただしい、忙しい百年。このたった百年の間に、この国で生まれたもの、変わったことを考えると、感慨深い。

 わたしが日本古代史に感じる魅力は、自ら考え自ら動く天皇専制的な天皇の姿かなあ。

 八世紀に女性天皇が次々と現れても、その立場と役割は男性天皇とは違ったのね。その性差によるあり方を決定づけたのが持統天皇であることが、皮肉というか逆説的というか。